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甲州街道を調布方面を目指して下っていくと、京王線の駅で言えば布田駅に程近いあたりに一際紫色が目立つ、国領神社がある。境内には、御神木として藤の木がある。『千年乃藤』と呼ばれるこの藤棚は、樹齢約四、五百年といわれ、人々は畏敬の念を込めているのだそうだ。毎年4月の半ばくらいから半月程が見頃となり、昔から幾度となく見頃の藤棚を通りがかりの車内より、拝見させていただいてきた。
4月30日の朝。この日は休日出勤にて、富士吉田のお客さん関連で打ち合わせをしに行かねばならず、天気もいいことだし、里見先生を出動することにした。気ままななGWシフトだ。先方には渋滞も予想されるのでオートバイで伺いますから、午前中には入れるでしょう、とだけ伝えてある。ほんとに気楽な道中なのである。家を出発して程なく国領神社の前を通過。「満開じゃあないの!」と、目から入ってきた映像情報を、いささか老朽化した脳の片隅で判断し、右の手足で里見先生に制動をかけ、左にウインカーを出すまでに約5秒は経過したであろうか。丁度良く交差点に差し掛かりぐるりと旧道を使ってUターンして回り込み、やっとのことで国領神社との初のご縁となったのである。
初めて足を踏み入れてみると、まさに藤棚が部屋の天井のように境内を覆い尽くし、見事としか言いようがない。写真愛好家のおっちゃんたちが三脚持参で10名ほど無言で藤棚を撮り続けている。第三者から「そのうちの1人」としてまったく違和感なく溶け込んでいるのであろう自分を、自分なりにどう評価していいものだろうか?仕事をリタイアしたら写真をはじめよう!なんてパターンは存在していて、書店などでもそんなテーマの書籍を目にしたりすることがある。でも自分はリタイアなんてしてないしなぁ。でも何故か藤棚から降りてくる木漏れ日の優しさにほくそえんだり、このうえない平和な時間の経過がやけにありがたかがったりする、そんな自分を、それはそれでいいのではないだろうかと素直に肯定しようではないか。「そのうちの1人」でなにが悪いのよ、と思うことにしよう。そんなことを考えながら1ロールを撮り終えたところで、最近クラッシュ&リセットの不具合が顕著な使い古された脳みその一片を、今度は山梨までの中央道の道程について集中して情報処理をするよう、まだ朝も始まったばかりにつき、少しは元気な意識でもって命令をしてみた。この続きは、Dr.Satomi”山中湖-道志-相模湖"に委ねることにする。



 

"藤" Gallery-F
CAMERA :NIKON F3
LENS : Sigma AF 28-70mm 1:2.8 / Tamron28-300mm 1:3.5-6.3
FILM : Konica-Minoruta"Centuria Super"ISO100
SCANNER : CANON CanoScan5200F(film scan)
2005.4.30