home>Dr.satomi


番外Special -先達が廻った北海道2004-
 
Visual&Context:いっち

北の大地の洗礼

もともとは9月に予定していた上陸を突然決行したのは、台風が通り過ぎたため。『台風一過』これほど確実な好天の条件はないだろう。しかし北の大地はそんなに寛容ではなかった。フェリーが苫小牧に着くと同時に..イヤミなくらい同時に、大雨洪水雷雨警報とともにスコールが。
十数台上陸したライダーたちの判断はさまざま。小降りなうちに路肩に停めてレインウェアを着る者、とにかく先へ突っ走る者、そして自分は..フェリーターミナルに戻って雨宿り(←根性なし)。しかし30分ほど待っても雨は止まない。宿のある支笏湖までは1時間の距離。暗くなっては地図も見れない..というわけで結局出発。一部の道路は水深5センチ。早速スニーカーのなかに水が溜まり始めた。オイルド・レザーのグローブはまだ持ちこたえてるけど、時間の問題だろう。
雨のなかを走るなんて何年ぶりだろうか。北の大地からいきなりジャブを食らい、浮かれた気分が引き締められた。やがて小降りになり、巨大な虹が見えてきた。

ライダーハウスというもの

支笏湖畔の樽前荘に着いたのは夜8時。近所にコンビニなどあるはずもなく、カップラーメンで我慢するかと思ったら、特別にオーナーがカレーを出してくれた。ありがたや。部屋は8畳くらいで、もちろん雑魚寝。毛布のレンタルがあるとのことで、今回あえて寝袋は持参しなかった。10年前に泊まった何件かでは宴を催してくれて、おかげでいまだに会える友人もいたりするが、今回はなし。でも、居間で談笑している人たちがいたので加わってみた。すでに2ヶ月滞在しているというおじさん、海上保安庁の3人組など、やはり個性的な人が多い。知らない人が見たら特殊な世界かもしれないが、みな上陸中は幸せな顔をしていることは間違いない。最近はキャンプ場でマリファナをやる輩などもいるらしく、閉鎖する施設が多いとか。やはり昔に比べると、盛り下がっているようだ。ちょっと寂しい。消灯時間が来たので寝る..が、両サイドからこの世のものとは思えないイビキが。イビキの掛け合い漫才かよ。ディーゼルの車にダサいマフラーを付けたような音と、調子の悪い単気筒のバイクの戦いというべきか..辛い夜だった。

麓郷の10年

今回の旅の目的地、富良野に行くからには麓郷は外せない。もちろん、五郎さんの家も見ねば..と行ってみたら、すっかり観光地と化し、道の駅のようになっていた。興ざめして家は見ずに、『北の国から』のロケをやっていた郵便局に行ってみたら、『動態保存』という言葉を思い出すほどそのまんま。『ユキちゃん』に電話していた電話ボックスも残っていた。満足してニコニコしていたら、夏にぴったりな向日葵のような黄色の883が手を振って通り過ぎた。さらに満足。しかし自分の黒のは暑苦しいな。ついでに10年前は行けなかった美瑛の丘にも寄ってみた。まさに『パッチワークの丘』。もはやメルヘンの世界。時間があればゆっくり寄りたかった。

トラックのアニキ

午前3時に八戸港に着いた。すぐに真っ暗な八戸道に乗る。仕事で何度も通った道なので不安はないが、やはり寒くて孤独。ほどなく大型トラックに追いついた。フェリーで一緒だった牛を積んだヤツだ。トラックのスリップに入ると、ちょっと牛臭いけど、すこしは寒さがしのげる。そういえば前回も最後はトラックに張り付いて帰ったな。以前に雪山で車を谷底に落としたときも、斜面を這い上がると待っててくれたのはトラックのアニキだった。東名では悪魔に見える彼らだが、辛い労働条件でも人への優しさを忘れない彼らは、長旅では欠かせない味方だ。

土浦ナンバー


安比にさしかかり空が明るくなると、さらに寒さが増し、本気で凹んできた。ヤケクソで唄う。クラプトンの『Over The Rainbow』。2年前のライブを思い出し、妙に東京が恋しくなり、さらに寂しくなる。でも良い歌だ。最後には幸せになるような終わり方のメロディだ。最近はこういう歌が減った気がする。時代のせいだろうな。早朝なので高速を降りると給油のチャンスがないので、最後のサービスエリアで給油する。何年ぶりかに見た朝焼けに感動していると、883Rが横に滑り込んで来た。土浦ナンバーで、荷物がデカすぎてリアの車高が下がっている。彼はこれから北海道に向かうとか。わずかな会話だったが元気をもらい、残り2時間の下道へ降りる。

事故

山のなかをひた走る。早朝で気温が下がり、今度は霧が出てきた。目をつぶっても走れる道だが、シールドに細かい水滴が付いて本当に見えない。それでも久しぶりのタイトなワインディングを走るとテンションもスピードも上がってきた。そして、コーナーを抜けるとバイクが停まっていた。どうも様子がおかしい。しかも年式が1年違うだけで、自分のと色も全く同じ車種だ。『883のよしみだ』と引き返し、話しかけると事故ったとのこと。どうやら追い越しをかけたら対向車がいて、慌ててブレーキをかけてハイサイドを食らったらしい。フォークは無事だが、せっかく取り付けたクラシックフェンダーとウィンカーが破損している。ライトは着くがエンジンがかからないとのこと。押しがけを提案し、後ろから230キロの車体を押してやる。一人なら絶対やらない重さだ。3時間しか寝てない上に、230キロを押しての全力疾走..それでもエンジンはかからない。さすがにあきらめた。既にヘルプコールはしてあるとのことだったが、まだ朝の6時。当分来ないだろう。可哀想だが何もしてやれないので、ちょっと話してから置いていくことにした。彼、どうしたかなぁ。だめだよ、鈍くさい883でブラインドで追い越ししちゃ。もっとどうにかしてあげりゃ良かったかなぁ..。次回は牽引ロープも持参しよう(笑)
文責:いっち
 

 

 


Copyright(C)2004,"いっち"

2005.2.12 Title Bannerのみリメイク